バイヤーのひとり言 |潮屋さんとのどぐろ狂想曲

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バイヤーのひとり言

潮屋さんとのどぐろ狂想曲

  • 2017/11/13

日本海とそれに続く海の上ではいろいろなことが起きているのだな。

金沢市民の台所で、石川県を代表する観光スポットでもある近江町市場をはじめ4か所に店舗を持つ、潮屋さんを訪れた。

もう5年以上の取引先になる。「デリシャス宅配便 2017年冬号」で紹介している「寒ブリのたたき」は、もうすっかり冬のごちそうの定番になっている。

牛フィレ肉のような赤身感を絶妙な分量の脂が包み込む。解凍して、柵をそのままスライスしていただく。わさび醤油、生姜醤油、あるいは柚子胡椒も合う。ぼくは三切れくらい食べるなら、最後の一切れは山田精油のごまラー油をほんの少し垂らす。これはたまらんです。

潮屋さんは金沢港ほか水揚げされた新鮮な海産物を加工するメーカーなので、海のことについてはもうプロ中のプロである。寒ブリのたたきのほかに、もう一つ、「のどぐろのたたき」という商品もあるので、それを販売できるか否か聞いてみた。

結論は、NO。ものがないのだ。某プロテニスプレーヤーののどぐろリスペクト発言以降、日本海側の漁師だけじゃなくてものどぐろをとり始めた。

東京都内にはのどぐろ専門店まで現れる始末。さらに韓国船や中国船、果ては北朝鮮の船までがのどぐろほかさまざまな魚介がとれる日本海沖の漁場までやってきて魚をとりまくっているという話。聞くところによると外国船はタンカーのような大型船で、北朝鮮船などは鉄砲を構えて他を威嚇しているという。

そこももちろん問題なのだが、もっと問題は外国船はのどぐろが売れるというので大きいのも小さいのも全部とってしまっているという現状。

そう言えば、小さいのどぐろの南蛮漬けや炊き込みご飯の素などという商品がこのところ目立ってきている。それらの産地を調べるとのどぐろ(韓国産)などとある。

潮屋さん曰く「これね、のどぐろ、いなくっちゃいますよ」。

のどぐろは白身魚であるにもかかわらず、脂がよくのる。脂のる=旨い の構図はこのところすっかり定着してしまった。「あんまり脂がのりすぎて嫌だって人もいるんですけどね」。のどぐろは血合いの部分が大きく、頭も大きくて歩留まりが悪いのだと。70%くらいしか使えないらしい。

潮屋さんは、希少なのどぐろを柵取りして表面をあぶって余分な脂を落とす。人によっては、あまりにのどぐろの脂がすごいので、湯引きして食べるという。

なんだか、のどぐろの周りはけっこう大変なことになっている。とにかく、数年前に一度販売した「のどぐろのたたき」はいまは販売できないということ。

で、写真は、近江町市場の潮屋のイートインショップでごちそうになった海鮮丼。 このサーモン、たこなどの刺身ラインナップに、このあと別皿でのどぐろとアカイカが出された。のどぐろは薄くスライスされていてもこってりしていて、アカイカはさっぱり甘かった。

いかも水温上昇のせいでどんどん北上してしまっているという。そのうち、あれもこれもみんなとれなくなってこんな豪華な海鮮丼が希少そのものになってしまうのだろう。

そんなことを考えながら、ぺろりと丼を平らげた。とてもおいしかったのだが、どうにもやるせない思いが、丼の底にへばりついた寿し飯の粒のように残った。

今回ご紹介した商品はこちら
バイヤー堺谷 徹宏

食品担当。
美味あるところどこにでも行くフットワークが身上。
担当カタログは「家庭画報のデリシャス宅配便」。
日本一の食品お取り寄せ通販をめざす56歳。
でも芋焼酎が好き、ラーメンはもっと好き……。

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