おいしい理由を訪ねて おいしい理由を訪ねて
ご注文はこちら

『家庭画報のおいしいお米』が誕生したのは1997年。
日本一おいしいブランド米として、「魚沼こしひかり」が高い評価を得ていたころだった。
当時、『家庭画報』が新潟県十日町(旧中魚沼郡中里村)との直接交渉に成功。
以来、20年以上にわたり長く愛され続けるロングセラー米となった。
味に厳しい家庭画報読者層を長きに渡って惹きつける「おいしさの秘密」とは何か。
その答えを求めて、令和初の収穫期を迎えた黄金色に輝く田んぼを訪ねた。

撮影/大見謝 星斗

こしひかりの故郷、魚沼地方。十日町って、どこ?

『家庭画報のおいしいお米』は、「魚沼こしひかり」。
こしひかりの故郷、新潟県魚沼地方のひとつ、十日町市中里地区(旧中魚沼郡中里村)という限られたエリアだけで作られている。
取材のきっかけは、田植えが落ち着いた5月下旬、JA十日町の販売責任者が、わざわざ東京まで来られ、お米の品質向上に関する新しい取り組みに関して、私たち『家庭画報』に熱くに語ってくれたこと。
新しい商品企画の芽がいくつもありそうだ。帰り際に「機会があったら、また現地を取材してください。ご案内します」とのこと。長年の付き合いゆえ、新規の取材撮影はしばらくご無沙汰していたが、その言葉におされ、カメラマンを帯同し、最新の取り組みを改めて取材させていただくことにしたのだ。

十日町市は新潟県南部に位置する豪雪地域。東京からだとJR上越新幹線でまず越後湯沢駅へ。
そこから「北越急行ほくほく線」というのどかなローカル線に乗り換え直江津方面へ向かうこと30分弱。地理的には越後湯沢駅から、少し日本海側に入ったところと考えるとわかりやすい。乗車したほくほく線は1両編成。一本のがすと1時間、待たないといけない。ちなみに十日町は、現在、3年に一度行われる国際芸術祭「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」の舞台となり、現代アートの拠点として世界的に知られるアートスポットになっているという。

信濃川の河岸段丘の立地が、「おいしさ」に繋がる

十日町駅に着くと、JA十日町営農生活部の若手、渡辺一正さんが、車で迎えにきてくれた。
『家庭画報のおいしいお米』を作る中里地区へ、取材のアテンドをしてくれるという。向かうことおよそ15分で中里地区エリアへ。信濃川の支流清津川を横目に見ていると、車は意外にも坂道をどんどん上っていき、川を見下ろすようになる。そう、中里地区の水田は、平坦地(平場)ではなく、その8割は標高の高い台地にあるのだという。

「信濃川の浸食によって形成された河岸段丘の高台に水田があるんですよ」とJAの渡辺さんが教えてくれた。坂を上りきると視界がぱっと開け、一面、雄大な黄金色の水田風景が広がっていた。山間部と言えど日をさえぎるものは何もない圧巻の開放感。この景色を眺めるだけでも、訪れる価値はあるだろう。田んぼのほとんどは、四角形に見事に整地され、畦地に雑草はほとんどない。舐めるように丁寧に手入れされていることが手に取るようにわかる。隅々まで手入れの行き届いた稲田を見て、お米の品質が、何も聞かずともわかったような気がした。

途中、取材に合流してくれた中里地区を管轄するJA十日町中里営農センター・津端康裕さんが解説してくれる。
「信濃川が形成した肥沃な土壌、そして清津川の水利、雪解けによるミネラル豊富な水が、『おいしいお米づくり』の基礎となります。そして、中山間地帯つまり、この標高差のある高台は、夏から秋にかけて昼と夜の気温差が大きく、穂が出てからの寒暖差が、食味・うまみをよくするのです」
大前提として、中里地区の立地条件、気候風土は、元来、おいしいお米づくりに適した土地柄なのだ。

JA十日町 津端康裕さんが語る

中里地区のお米がおいしい「3つの理由」

おいしいお米作りは“管理”から

収穫が始まったばかりの9月中旬。田んぼを巡っていると、「刈り取り 急げ!」という看板が至るところで目についた。これはJA十日町の栽培指導の一環による、生産者に向けた注意喚起のサイン。“圃場看板”と呼ばれているもので、中里営農センターの津端さんが管理している。「刈り取りが遅くなると、高温障害など、被害米の要因になる」とのこと。この刈り取り時期に関しては明確な判断基準がある。

「積算温度計」と呼ばれる百葉箱のようなものが中里地区16地点に設置されているが、これは、穂が出た日から、一日の平均気温を積算し、それが平坦地1000℃、山間地・台地1050℃になったころに適期収穫時期とするというもの。およそ35〜40日くらいが目安だというが、出穂から収穫までの登熟期間は、たんぱく質やアミロースの含量が変わる時期。収穫のタイミングが味を左右するから、直感に頼らず、合理的な指標を設けているのだ。「中里地区全体でおよそ680haもの田んぼがありますが、穂が出る頃になると、地区全体を毎日こまめに回って、出穂を目視で確認するようにしています」と津端さん。中里地区の農家は、JA十日町と連携しあい、的確な情報共有で、地区全体で、稲作栽培の品質の底上げを図っていることが分る。

『家庭画報のおいしいお米』を作る特約農家は、現在9軒。以前は、3〜5haの小規模な個人農家が多かったというが、現在は、廃業した水田を法人で借り受け、大型化する傾向にあるという。『家庭画報のおいしいお米』を大規模に栽培する主要生産者のひとつ、上山水稲組合の田んぼを見せていただいた。想像以上に広大な印象で、収穫直前の稲穂はたわわに実り、首を垂れている。適時収穫のタイミングを計っているところだという。
「生産者であり、消費者である自分たちが納得する『安心安全で、おいしいお米』を作りたい。そのため低農薬・化学肥料6割削減で栽培しています」と組合長の上原忠司さんはいう。

中里地区では、環境にやさしいお米づくりをめざして、以前から、独自に県が認証する基準値よりさらに厳しく肥料や農薬を制限している。
種から収穫まで、除草剤は2成分に抑えているというが、そのため田んぼの雑草は放っておくと伸び放題に。
機械が入れられない田んぼの中の草はすべて人の手で取り除くしかないから、暑い夏場は雑草との格闘となる。また、カメムシの居場所となる畦の雑草も同様、出穂時期の前には、綺麗に刈りとってしまわなくてはならない。
前述した雑草のほとんどない綺麗な水田風景は、カメムシの被害を防ぐための、生産者の労力の賜物だったのだ。

旨みを引き出す乾燥技術と大粒米

黄金色に輝く稲田を後にして、収穫されたばかりのお米(籾)を、乾燥・貯蔵する大型施設(通称「カントリーエレベーター」)に案内していただいた。

通常お米は、籾の状態で保管するが、カビの発生をふせぐため水分含有量を23%程度から15%程度まで落とさなければならない。
かつては、刈り取った稲を田んぼの中で逆さまに吊るして天日干しにする“はざかけ”の光景がよくみられたが、今はほとんどなくなってしまった。
この施設はいわばその代わりをする大きな除湿機。風を送り込み、1週間程度かけてゆっくりと、より自然に近い、天日干し(はざかけ)のような状態で乾燥を促す。
この施設では、乾燥後、そのまま貯蔵可能で、現在、収容能力は2千t、中里地区の生産量の48%が賄えるという。ただし、ここで貯蔵できるのは一等米以上のもののみ。

カントリーエレベーターに入れる価値があるお米なのかどうか、事前に選別が行われる。取材中、ちょうど一軒の生産者がお米を納めにきたので、様子を拝見していると、まずもってきた籾を、コップ1杯分、籾摺り機にかけ、外観品質をチェックする。
このとき、整粒(正しいお米)と未熟米や被害米との割合を出し、整粒歩合70%以上(一等米以上)のものだけが、ここで乾燥・貯蔵される。

「家庭画報のおいしいお米」はすべて特別栽培米(一等米以上)として、この施設により、自然乾燥に近い乾燥で、お米の旨みを最大限に引き出しているという。
また、この施設では籾摺り後に米選別機のふるい目にかけお米の大きさを調整している。『家庭画報のおいしいお米』は、1.95mm以上の大粒米のみを選別しているが、ひと粒ひと粒のお米は、大きいほど甘みがあり、食感が優れるとされるから、この粒の大きさが美味しさの重要な要因となっている。

お米の目利きが『お米の通信簿』

正式な品質検査は、籾摺り後、玄米の状態で、米の集荷場に併設された検査場で行われる。当日、検査歴17年のベテラン、国認定の資格をもった農作物検査員・村山敦さんの検査に立ち合わせていただいた。

検査は抽出検査。
まず、生産者ごとにパレットに載せられた米袋(45袋)のうち15袋から穀刺と呼ばれる道具を使ってお米を取り出し、升が並べられた見取り箱という道具にお米を並べる。ひと升(=さし棒1回分)に約1000粒のお米があり、これをカルトン(皿)に移しかえ、整粒歩合を検査員が目視検査する。

1枚のお皿(1000粒)の中に、未熟米(青未熟粒、乳白粒など)、被害粒(胴割粒、カメムシ)、着色粒など、外観品質が劣るものがどれだけあるのか、目分量で判断できるというから驚きだ。
もちろん迷ったときは複数の検査員で判断をすることもあるという。
整粒歩合60%以上が二等米、70%以上が一等米、80%以上が特撰米とランク分けされる。

検査場では、外観品質とは別に品質分析器を使った食味の成分検査が行われる。
お米の味を左右する二大要素は、アミロース値とタンパク値。前者はもちもち感。
アミロース値が低いと粘性高くなり、アミロース値が高いとパサパサした食感に感じる。日本人は粘性のあるものをおいしいと感じる人が多いとされる。
後者は、食味で、タンパク値が高くなりすぎると味が低下するとされる。

成熟を促すため一般には出穂後も肥料を与えるが、中里地区ではタンパク値が上がるため、登熟期間に追肥をしないという。
もちろん、適正値があって、中里地区のコシヒカリでは水分(14.5〜15.5%)タンパク値(5.5〜6.0%)、アミロース値(18%以下)を目標値としている。生産者はその目標に向かって、肥料の種類、量、時期や、日照時間を日々、綿密に管理しているというわけだ。

品質分析器は、2009年から各検査場に導入されたもので、コシヒカリ出荷米の分析調査を行い、消費者に向け、「特A評価」の品質を担保すると同時に、外観品質と食味成分の2本立てで、総合評価を判定し、『お米の通信簿(食味品質評価表)』として、生産者にフィードバックし、品質・食味の底上げに繋げている。

最後に、JA十日町が、2018年秋に稼動したばかりの最新施設、雪室倉庫(利雪型低温倉庫・精米施設)を案内していただいた。これは、雪国の天然資源とも言える雪の冷気を生かし、
庫内温度5℃、湿度70%で玄米保管する天然の冷蔵庫で、収穫時の鮮度を長期間保つJA十日町の最新兵器だ。雪で冷やした空気を循環させるだけの、いたってシンプルなシステムで省エネ、省コストに繋がる。
JA十日町の精米商品はすべて、900tの雪を貯蔵したこの雪室倉庫で保管されるが、3か月以上貯蔵したものは、「雪冷やし」としてブランド化をはかり、当該商品にはステッカーを張っている。4月下旬から9月下旬まで『家庭画報のおいしいお米』も「雪冷やし」となる予定だ。

栽培から貯蔵、精米まで、地区全体で目配りしながら、おいしさを追求したJA十日町中里地区のコシヒカリ。
「家庭画報のおいしいお米」は、JAが作り上げた“特別レシピ”に則った肥料計画、農薬管理を、それが許された特約生産者が、特Aを獲得している特級田んぼだけで栽培している「特別栽培米」。
上山水稲組合のような顔の見える9軒の生産者が、1年間かけて、ひと粒ひと粒真心を込めて作った「令和元年産の新米」がまもなく食卓に届く。
1.95mm以上の大粒米の甘み、自然乾燥に近い乾燥で引き出したお米の旨み、艶、香り・・・・・・そのどれもが絶品の『家庭画報のおいしいお米』。この秋、収穫されたばかり、一年の中でも一番おいしい、鮮度抜群の新米をぜひ、味わっていただきたい。

ご注文はこちら

「美味しいお米」を炊くなら!

ご注文はこちら